こんにちは。岡部です。
今回は「絵画の2大古典技法」について
解説してみようかなと思います。
絵画技法というのは前提として作家それぞれ
異なりますし、
この描き方が正しい!というものは存在しません。
常に人によって変化するし、
そうあるべきです。
しかし傾向的に言えば古典的な絵画技法には
2種類存在します。
それが、
「透明色」を多用する方法。
「不透明色」を多用する方法。
この2つです。
1つずつ解説していこうと思います。
「透明色」を多用する絵画技法
まず最初に解説するのが透明色を多用する
技法です。
これは透明の絵の具を薄い層上に何度も
重ねていくことでイメージの色味に近づけていく
というイメージですね。
ヤン・ファン・エイクやブリューゲルが
有名かなと思います。
例えば少し鮮やかさを落とした不透明絵の具で
ある程度描いて、
その上に透明色の鮮やかな絵の具を重ねて
色味を強く出していく。
このような描き方です。
この技法に近いものとして
「グリザイユ技法」と呼ばれているものが
あります。
モノクロでまず描いてから、
その上に色味を透明色で乗せていくという
ものです。
例えば、白黒で描いた立方体の上に
赤い透明フィルムを重ねると、
赤い立方体に見えますよね?
この原理です。
これが北方ルネサンス時代に
よく使われた技法として紹介される事が
多いです。
しかし実際に原画を見ていくと
本当にこの描き方で描かれた絵というのは
少ないように感じます。
最初から不透明絵の具で色味を乗せながら
描いていって、
その上に鮮やかさを上げたり調整するために
透明色を使っている場合の方が多いです。
実際完全なグリザイユ技法で描くと発色が
悪くなる傾向があって使うのは結構難しいです。
なので昔は青など高価な絵の具にのみ、
絵の具を少量で済ますためにこの技法が
使われたという説もあるようですね。
「不透明色」を多用する方法
次に不透明色を多用する技法です。
この技法は北方ルネサンス以降の
バロック時代に多く使われるようになった
技法です。
ルーベンスやレンブラントなどが有名です。
下地にグレーや褐色などの色を用いて、
その上に不透明絵の具で描いていく技法です。
ある程度完成に近い色をしっかりと不透明に
置いていくのが、
透明色技法との違いでもあります。
またルーベンスなどの作品を見ると
分かりやすいのですが、
下地のグレーなどを筆跡から覗かせることで
血色を表現したりしています。
結構高度な技術です。
またベラスケスなどの作品を近目で見ると、
非常に荒々しい筆跡で何を描いているのか
分からないのですが、
遠目で見ると写実的に見えます。
これも技術的には非常に高度なものです。
1回のタッチで、
質感・明暗・色味などの多くの情報を
合わないといけないからです。
何度も何度も絵の具の層を重ねる技法とは
異なりますね。
個人的にはベラスケスほど絵が上手い人も
なかなかいないんじゃないかと思います。
まとめ
今回は古典絵画技法を大きく2つの傾向に
合わせて少し解説をしてみました。
あくまで傾向であって、
完全に別れているようなものでもないです。
不透明色で描いた上に少し赤い透明色を
重ねて、
ほんのりピンクの血色を表現したりする
ようなこともルーベンスやレンブラントも
行っていますからね。
簡単に「こう描いてこう描いて完成」
と言えるほど絵画技法は単純ではないです。
色々な技術や手法の組み合わせで成り立って
いるんですね。
では今回はここまで。
またお会いできると嬉しいです。